学生服改造

3月某日、 息子が中学校を卒業した。 

高校はブレザーになるので学ランを着る事はもうなさそうだ。

卒業式の朝息子の学ラン姿を写真におさめながら、ふと思い出した。


今から30年以上前、私は中学、高校と学ランだった。 

当時はちょっと悪い格好が流行った時で、レギュラーな学生服を着るのは恥ずかしかった時代だった。

周りがそうなので、『むしろ目立たないために少し悪いかっこうする』 

本当に妙な時代だった。

身に覚えのある方もいらっしゃると思いますが??? 


息子の学生服を見ながら思いだすのは服の改造だ。

田舎に学生服の専門店なんてなかったし、当然ネットショップもない。そしてお金もない。

改造するしかなかった。


中学の学ランは着丈が若干長めの80〜83cm位だったが、高校に入ったら短い丈がかっこよかった。 学ランの着丈を短くする勇気も知識もなかったのでとりあえず半袖シャツを改造した。


母のミシンを使い、時間をかけながら縫ったものだ。 

記憶をたどると私はこの時からミシンを使いだしたのだった。 

縫い方は母から教えてもらったわけではなく、持っている服を見ただけである。

男子高校生がミシンを使うなんぞあまり聞かない話だから、当時は家族も不思議がっていた。


パンツは2タックテーパード、股上は深め。 シャツの丈はベルト下5cm位で裾はストレート。シャツの袖はまくり裾は出していた。


そんなシルエットだけど、頭はストレートヘアの黒。 靴はコンバース、バッグはスポーツバッグで不良のスタイルではない。 

中途半端だが、それくらいが丁度私の立ち位置だったのだ。


一枚お気に入りができると、もっとシャツが欲しくなり自分で買いにいった。

・素材はコットン100%

・ミニボタンダウンシャツ

・ミニレギュラーカラーシャツ

・オープンカラーシャツ

など、こだわりシャツを探して着丈と袖丈は改造した。


パンツは裾あげ位だったが、自分で全て直した。 

母にアイロンかけてもらうと学生ズボンは光ってしまった。 ポリエステル混だからだ。

そういう訳で、アイロンは毎朝自分でかけた。


「当て布すると光らない」「光ってしまったら消しゴムをかける」「水ふきを使うとしっかりクリーズラインがつく」  などやりながら覚えた。 


『シャツはアイロンかけない』 『パンツはクリーズラインいれてしっかりかける』

?? 変! もちろんそうです(汗)

でもそういうこだわりだった。


なぜそんなに一生懸命やったか?

「カッコ良くなりたかったから!」

その情熱、後年役にたちました!  


当時は服飾デザイナーになるなんて考えもしていなかったので、今考えると天職だったかもしれない。


高校を卒業して上京し、美術の予備校へ通い始めた。 

電車で見る東京の男子高校生 皆ジャストサイズでスマート!

靴はスリップオンの革靴! 

なんて洗練されているんだ!! 

『普通ってかっこいいんだ、、、、』

目から鱗が1万枚ほど落ちるほどのカルチャーショック。 


そういう事ってたくさんある。  

ファッションって、流行りに飛び付けば飛びつくほどそういう思いはする。 

だって流行りだから。 

 【流行は日持ちしない】

だからこそ楽しいし、刺激があると私は思います。


服の改造話、失敗話はまた記事にしたいと思います。




 



apollo hint box

上里 貴彦 TAKAHIKO UEZATO  ▶クリエイティブディレクター / ファッションデザイナー ・apollo design lab 代表

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