クリエイティブな【アパレルサステイナブル】は可能か?

サステテナブル『持続可能な』とかSDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発17の目標)」などファッション業界でも話題になっている。 


日本では90年代にエコブームが起こりオーガニックコットン(無農薬綿)や落ち綿、クズわた(紡績時のロス)を使ったものなどが話題になった。 

ただし、その時代は危機感などあまりなく、リサイクルのグラフィックや無印的なカッコよさだけで打ち出すブランドが多かったと感じる。


『買う側のメリット(機能とか、ブランドとか)ではなく、地球環境やあらゆる生物や労働者への負荷を軽減するために高くなった商品ではビジネスにならない」

アパレル業界における正直なところだろう。 

そしてそれは『合っていると思う』

アパレルの低価格化に歯止めがかからない日本においては、ますますそうであろう。


コロナ以前だが、ヨーロッパ出張を定期的に行った人からは、『今度のエコムーブメントは昔と違うと』聞く。  

島国日本はある意味自己完結型だ。 他国の緊張感を感じるのは難しい。 

しかし、コロナ以降もう一度世界に出た時に

あれっ、 みんなそうなの?』 

なんて、予想以上に周りが変化している事は十ありうる。

危機感が感じられなくても問題意識を持ち、世界の趨勢に合わせようという試みは必要だ。

『我が身にふりかかるまで気にしない』ではすまされなくなっている。


『ファッションは、世界で2番目の環境汚染産業だと言われているのだ』

*1位は石油産業


日本でも始まっているサステイナブルな取り組みのうち業界で話題なのは

◎【BRING】 『服から服をつくる』  おしゃれなグラフィックはデザイナーやバイヤーに評価が高い。  

引用: https://bring.org

◎ 【エコログ】ポリエステルだけではなく、ウールやコットンも抽出できるシステム。   

再生するのは服だけはなく、工業資材など多方面


引用:http://www.ecolog.co.jp


これらは服の地産地消的なアイデアで、島国日本向きだと思う。

技術やシステムをソフト化し他国に輸出できると世界の環境改善にも貢献できる。 

結局、ビジネスにならないと拡大はしないのだ。 




化学的なサステイナブル活動とは別に、すごく素敵な取り組みがあったので紹介したい。  

VOGUE で紹介されていた ”『週1回の受注生産。モード界が注目する、クチュリエールの母娘が手掛けるメゾンクレオ「MaisonCléo」”   2021.1.7

引用: https://www.vogue.co.jp/change/article/maisoncleo

詳細は記事を読んでもらいたい


娘がデザインして母が縫製するというというブランドなのだが、私が気になったのは【完全受注生産】というところだ。 


もちろん1人で縫うから可能な事には間違いない。

大量生産向けに人も機器も配置された工場ではほぼ不可能。 1人が一着を縫い上げる工場は極端に少なく現実的ではない。 

現状から無理とあきらめるのではなく、成功例をヒントに考えていく必要はあると思う。


このブランドのこだわりは『生地である』

仕入れ先は企業秘密。  オートクチュールや高級ブランドのロス反物をアップサイクリングしている。  

これは参考になると思う。 日本においても試作反やロス反物で良いものはたくさんある。

一部は問屋街に流れているかもしれないが、あまりニーズはない。 個人の縫い物用にすぎない。

『眠っているお宝生地のサイト』があるとうれしい。 


服はテキスタイルだと個人的に思う。 色、柄、織組織が原料とマッチした生地は本当に素晴らしい!  

引用: https://www.vogue.co.jp/change/article/maisoncleo

素材感にあったフォルムとディテールが素敵だ。


ビジネスになっているポイントはやはり【SNS 】と【ブロガー】だった



ELLE Japanの記事 ”娘がデザインして、母が作る。「メゾン クレオ」の古典的かつ先進的なサステナブル・モードとは?”        2019/07/16 

引用:https://www.elle.com/jp/fashion/fashion-column/a28314209/greencloset-colum19-0712/ 

”  レアンドラはアメリカの超有名ブロガーで、ファッションブログ『Man Repeller』の創設者。そのレアンドラが3着購入し、それをインスタにアップし、その上「メゾン クレオ」について長い記事を書いてくれたのだ。こうして、彼女たちは数千人のフォロワーを獲得、オーダー過多で一時サイトを閉じることにまでなった。”

ドラマチックだ!!

”現在オーダーを受け付けるのは、毎週水曜の18時半から週に1回だけ。販売数はナタリーが1週間で作れる量に限定し、約30着のみ販売している。ナタリーは朝7時から真夜中まで、アトリエで縫製に励んでいる。作業期間として2週間もらい、50着を提供。ファストファッションと正反対だ。顧客の約90%が外国人で、30着が15分で売り切れる。”

引用:https://www.elle.com/jp/fashion/fashion-column/a28314209/greencloset-colum19-0712/    

 


【ブロガーの価値観や美意識が現代では最大パワー】 


服はモダンなシンプルで余計な装飾がない。1人で縫っているのだからそうなるのであろう。

ボタンホールのない服も目立つ。 ボタンホールは手がかかるし、副資材はゴミになってしまう可能もある。 



クリティティブなサステイナブルとは【完全受注生産 】にあると思います。

◎受注生産可能な工場
◎お宝生地販売サイト
◎インフルエンサー

服に美意識や価値観を求める人は一定数いる。 この二人のビジネスは今後のアパレルのヒントになるのではないだろうか。







apollo hint box

上里 貴彦 TAKAHIKO UEZATO  ▶クリエイティブディレクター / ファッションデザイナー ・apollo design lab 代表

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