サステナブルファッションの一つにリサイクルがある。
古着を回収して資材として再生するにはコストと手間がかかるのだが、障壁になっているのは生地を原料に戻すという工程だ。
ペットボトル → フリースはポリエステルチップにすれば良いので比較的流通しやすい。
しかし服は ウールxポリエステル コットンxポリエステル など一つの素材でできているわけではない。 素材を分離分別し原料化するには高度な技術と研究が必要なのだ。
こういう化学分野の取り組みとは違う、クリエイターたちからでてきたアイデアを紹介したい。
◎ 1つめは イギリスの企業 VOLLEBAK
【土に還るTシャツ】だ。
The Plant and Algae T Shirt :植物と藻のTシャツ
リヨセル(パルプが原料)x リネン 素材のジャージに 藻類から抽出生成したプリントをする事で100%生分解し土に還るというアイデアだ。
”Tシャツに寿命がきたらコンポストすること、つまり庭に埋めることだけは忘れないでほしい。「そうすればTシャツは生分解されて土に還り、新たな植物の生育に役立ちます」とティッドボールは話す。” 引用 WIRED
12週間 約3ヶ月弱で生き物たちの餌となりきれいに消滅する。 環境への負荷はほとんどないと言って良いだろう。
百聞は一見にしかず
ご興味のあるかたはご覧になってください。
ただし!!
かなりグロテスク!? な映像があるので苦手な方は画像だけにしたほうが良いです。
VOLLEBAKのサイト
服が朽ちていくさまは切なくもあるし、自然に戻してあげられたという感慨深さもある。
こういう行動って昔は変人、芸術家扱いで終わっていたと思うが、現代のネット社会においてはデザインを通して危機意識を喚起させる力がある。
『埋め立て処分されているゴミをゼロにしたい』というビジョンを持ち研究を進めているそうです。 素晴らしい!
◎2つめは
森永邦彦 【アンリアレイジ ANREALAGE 】
土と水、温度で生分解される「バイオデグラデーションガーメント」
"自然によるヴィンテージ加工"として新提案されたもの
バイオデグラデーションガーメントは、生分解機能を持つポリエステル糸と生分解されないリサイクルポリエステル糸で制作される。
服を土の中に埋めたあと、毎日水を与えながら70度の高温環境で1ヵ月にわたって温存するとポリエステル糸がバクテリアに食されて穴がき、残った糸が、レース模様のよう模様を形成する。
通常のレースのケミカル加工を土壌のバクテリアにさせているというアイデア。
すごくユニーク。
アンリアレッジは服を単なる装飾やファッションとして捉えるのではなく、哲学的なアプローチで創作するブランドとして有名。
「自然と共生することで完成する服」というテーマをわかりやすく表現しています。
◎ サステナビリティーファッションの未来
ピッティやプルミエールビジョンでは化合繊の提案が減っていると聞きます。
石油由来の原料を使わない事がトレンドになっているのです。
北陸産地の素材は風合い、機能、染色性など世界に誇れる素晴らしい開発力です!
ただし、今後世界が石油由来の原料を制約するとしたらどうなるでしょうか。
合成繊維の布地を洗濯すると排水にマイクロプラスチックファイバーが含まれていることがわかっています。 マイクロプラスチックファイバーは微生物に分解されることはほとんどないため、半永久的に地球上に残ります。
生分解性プラスチック(グリーンプラスチック)を使ったポリエステルに期待したいが
本当にエコなのかというと、まだまだ問題が多いようです。
現時点の衣料素材で生分解性があるのは、天然繊維と再生繊維です。
【土に還るという】アプローチが即役に立つというものでもないし、ビジネスに直結するとも思えないのだが、クリエイターの試みから消費者にリスクアピールする事だって大きな力だと思います。
今後の取り組みにも注目し応援していきたいです。
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